肉の旨みはサシの入り方によって全く違ったものになる

私には6つも年上の兄が一人います。他に兄弟はおらず、両親曰くは「お兄ちゃんが生まれてから、しばらく子供が出来なかった」とのことで、結果として小学校の就学期間に匹敵するような６歳差の兄と妹となった様子です。

男の兄弟なら、年齢差があるとかなりケンカをすると何かの本に書いてあったような気もしますが、幸いにも私と兄は性別が違うこともあってか、とても仲の良い家族として成長しました。何か勉強を教えて貰いたければ、共働きで忙しかった父や母に代って兄が教師役を買って出てくれましたし、一度など病院にまで兄が連れて行ってくれたことがあるほどです。

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兄は私にとって、「いつも頼りになる素敵な家族」としてあり続けてくれましたが、そんな彼も就職を機に一人暮らしをすることになり、この春に実家から引っ越して行きました。私は寂しくて何日か泣いてしまいましたが、それでも毎月に一度くらいは兄が実家に戻ってくることを楽しみに、何とか我慢することにしたのです。

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そして先日、一人暮らしを始めた兄が実家に泊まりに来ると、彼は仕事先で先輩から教わったと言う色々な知識を披露してくれました。どうも営業に関係する雑学的な知識を仕込まれたようで、兄曰く「焼き肉で高級和牛があるけど、あれって肉の旨みはサシと言われる霜の降り方で全然違うんだ。黒毛和牛種のお肉で、霜がキレイに入っているものは、それに応じて旨みも増すんだよ」などと話してくれたのです。

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その話を聞きながら、私は兄が少しだけ遠くに行ってしまったような気がして、少しだけまた泣いてしまいました。でも、大好きな兄にこのまましっかりと頑張ってほしい一心で、再度その気持ちを飲み込んだのです。